NEWS 生産者インタビュー~農家の成長を支えるコミュニケーション~Vol.1

山武郡横芝光町 平野氏

食を支える農業...現役農家のお二人に聞きました !

 「農業」や「農家」というキーワードを聞いたら、若い世代や農業・農家を知らない方々は何を考えるでしょうか。「農業を取り巻く環境は年々厳しさを増している」といったニュースを目にしたり耳にしたりしているかもしれません。もし、農業を始めたら資金の調達や技術・資格取得の必要性をかなり迫られるのではないか。情報が溢れている現代社会において、陥りがちなイメージだけが先行してしまっているかと思われます。
 今回は、元気で逞しく農家を続けているお二人にスポットを当て、さまざまな質問にお答え頂きました。
 農家を始めたキッカケや技術をどのように習得したのか。情報が溢れる現代でどういった情報を取捨選択し、農業に活かしているのか。
 さらには、心構えや考え方・今に至る行動力まで、これから農業に挑戦してみたい方々には必見です。

コミュニケーションというカタチ

 「コミュニケーション」と言われると、喋りが上手いことや社交的であることが直ぐに浮かぶと思われます。しかし、今回インタビューをさせて頂いたお二人のコミュニケーションのベースは、知識や話術・資格などではなく、行動力だったり実践力、前に進もうとする推進力や何事にも挑戦するチカラがベースになっているのです。喋りが上手くなくとも必要としてくれる人達に対しての接し方や実践力、さまざまな形で繋がった人達を大事にする姿勢、磨きあげた自分の技術と経験で育てたあげた安全・安心な食材そのものが、さまざまな人とのコミュニケーションに直結しているのです。〝多少の努力では真似できないような行動力や技術力、人が惹かれる食材、信用・信頼を紡ぐ姿勢〞こそがこれからの社会におけるコミュニケーションの本質であり、これからの農業に必要な要素なのかもしれません。
 

インタビュー本編【山武郡横芝光町 平野氏】

農家の日常をスマホで発信、料理レシピから病気被害まで

 父から地域ブランド「ひかりねぎ」の生産を受け継いで就農から20年ほど経ちました。昨年にホームページを開設し、SNSを通じて畑の様子や料理レシピ、時には作物の病気被害の状況をアップしています。最近はネギと牛乳を使ったクリームスープの写真とレシピを投稿、また「ひかりねぎ」が出荷されるまでの過程をスマートフォンで撮影・編集して動画を作りました。初心者ですがBGMをつけたりなど意外と簡単に作ることができたので楽しかったです。発信している内容は生産者として何気ない日常ですが、情報発信によって消費者の方に自然と毎日格闘している農家の現実や生産現場を知ってもらうという意味でやれることはやっておきたいですね。

ひかりねぎ

生産者と消費者をつなぐ食育活動で食を身近に

 「食」を身近に感じてもらいたい思いから食育活動を始めました。JA青年部・女性部・地元の小学校の先生と協力して、現在はさつまいもを使った農業体験とスイートポテトの調理実習を併せて実施しています。「育てる」だけでなく「食べる」ところまで関わることに意味があります。生産者の立場から消費者でもある子どもたちがどんな思いで食べ物を口にしているのかを知りたかったからです。活動を継続するうえで学校の先生の転勤、スケジュールの確保などいろいろ大変な部分はありますが、子供たちのおいしく食べる姿や畑に入ったときの楽しそうな姿を見ることが励みになっています。開催自体が危ぶまれることもありますが、対面での開催が難しければWEBを活用するなどとにかく開催することにこだわっています。子供たちの「経験」という「財産」を守りたいという思いがあるので「やらない」という選択肢はありません。
 現在は教室や参加人数の制限により子供たちだけを対象に食育活動を開催していますが、いずれは保護者の方、特にお母さん方を対象にした調理実習を開催したいです。子供の栄養バランスを考えた献立の悩み、妊婦の方は自分が食べたものがそのまま赤ちゃんの栄養になるので何を食べたらいいのか不安があると思います。そのような食に対する悩みや不安の解決に食育活動が少しでも力になれたらいいなと思います。

日本の食と農の希望、SNSから気づいた農業体験の可能性

 SNSで食育活動の様子をアップしたときに「学生の頃に収穫体験をした」というコメントが寄せられ、農業の実体験が大人になっても記憶されているのは驚きとともに大きな喜びがありました。このような事実を知ったからこそ娘の友人が遊びに来たときには趣味で作った野菜を収穫してもらったり、野菜を持ち帰ってもらったり、おいしい鍋にして振る舞っています。友人たちは小学生の農業体験ぶりに畑に入ったということで楽しそうに収穫していました。こうした経験から食べ物をただ口にするだけのものではなく、より身近に「自分ゴト化」して考えるきっかけになれば日本の食料や農業の状況が少しでもよい方向に変わるのではないかと思っています。

ページトップ